ネット通販Zapposの凄いサクセスストーリー
- (2010-04-20 06:55:05)
Zapposの特徴:
・365日以内の返品
・1ヶ月の新人教育と研修後の退職で支払われる1000ドルの話題性
・社員間コミュニケーションをTwitterで公開
・年中無休コールセンターと徹底した丁寧な対応
・Fortune誌の「Fortune's Best Companies to Work For」の去年Top100に選ばれ今年はさらにランキングを上げている話題性
研修後の「10万円退職金制度」の意味
特に研修後の10万円退職金はおもしろい。下手な広告費よりマスコミの取り上げ比率ははるかに高いだろうから、テレビ広告が打てるような資本力のある会社さんなら絶妙なパブリックリレーションズ対策に思える。
といって仮にテレビCMが打てる潤沢な余剰資金があるとしても一般的な企業が「研修後10万円退職金制度」を設けたところで、当事者にこそ「なんと酔狂な」と面白がられることはあっても、マスコミに取り上げられることはない。
驚異的な売上げが伴ってこそ、こういう話題性のあるストーリーには価値がある。
個性的CEOか敏腕マーケッターによって意図的に作出された制度かどうか知る由もないが、制度を利用して研修後退職した人間(10%)の口コミさえ動員できるところが凄い。「タダでは起きあがらない」とはこのことだ。
ところで、私はこれを知ったとき「もし当社もある程度の規模の会社ならやりたい!」と心から感じた。しかし、今さら他社がこれをマネても話題性はない。また、成長が鈍化したときにこの制度を維持できるか、あるいは維持する意志を維持できるかExit戦略にも興味が引かれる。
悪事千里を走る、しかもリアルタイム
「社員間コミュニケーションのTwitterで公開」もやがては時代の流れかもしれない。一部の企業は今後普通に行うし、一部の企業は今後も頑として行わないだろう。
もはや企業は企業秘密や社内事情を社内だけに納めることはできない時代。機密情報も技術情報も社内事情も、人々の関心が集まる企業なら、エントロピーの法則同様、意図的か、あるいは事故かをと問わず、それらはいつか必ず漏洩する。企業の裏情報は隠しようがない。
企業内部のオープン化
企業の情報漏洩は昔からの現象ながらインターネット時代は漏洩スピードが加速する。しかも、漏洩後の情報伝播はリアルタイム。ならば、ある程度は自ら公開しオープンにすることを前提とした企業オペレーションに移行する企業もでてくるだろう。
それは逆に一般社員が、より外部の人間に近づく現象にも見える。米国企業は明らかにオープン化に向かうだろう。ヨーロッパや日本の企業は家族的思想の企業がまだまだ多く残っており、「ウチ」と「ソト」を分ける傾向にあるので、もうしばらくは・・・
365日返品、ゴミ化した商品の環境負担
365日返品はお客様を大切にする姿勢がよくわかる制度である。米国企業はさすがと思わせる。大資本による量産体制のたまもの。
しかし、いいことばかりでなく私にはかなり悩ましい問題。これは大企業が行うパブリックリレーションズではなく、むしろ固定的で顧客と企業の間に相互信頼が成立している小さな会社さんに向いているように思う。
突き詰めれば、人間の性善説vs性悪説という紀元前からの哲学的テーマに巻き込まれそう。
しかし、事実として不特定多数の顧客の場合、ほとんどの人が良識に基づいて行動するものの、一定比率で社会的常識の逸脱した行動を起こす層が含まれるもの。
たとえば、テレビ通販会社の人から聞いた事例では化粧品を購入し中身を別の容器に移し替えて「気に入らない」と空容器を返品する顧客が存在する事例はまだ希だとしても、返品可期間ギリギリまで相当量使用した後に返品する顧客はかなり安定した比率で存在する。
そういう返品物はあきらかにゴミ化した商品であり、再利用不可能である。再利用のための再生コストより新品生産コストの方が普通は数倍も安いし、化粧品なら再利用は事実上不可能。
結果的に手厚い返品制度はムダにゴミを生産し流通させる構造的問題を招いていることは事実。米国では返品商品を専門に取り扱う流通企業が存在し返品商品市場が存在しているそうで、この流通ルートに流れる返品商品はまだしも商品として生き残れる。
しかし、使いかけ化粧品や履き古した靴のようにゴミ化した商品の場合、多くは自治体のコストで廃棄(焼却や埋め立て)する必要があるが、廃棄のため資金は国民の税でまかなうにしても、環境的な負担や損失は今後スポットが当てられる分野に感じている。
Zapposのサクセスストーリーをどう自社の成長の参考にするか、よい部分や使える部分を切り出し、勉強させてもらいたい。
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